アルペンさんの文体論
こんばんは、じんたねです。
本日は、私のpixivを始めた頃からお友達のアルペンさんによる、小説文体論の分類をまとめておきます。
Twitter上で流れてしまうのが、あまりにももったいなくて、ここに掲載します。
アルペンさんご本人の許可はいただいております。
まずは、前回の画像の再修正版。これを基準に、具体的にどんな文章が、叙情、叙覚といった文章に当たるのかを説明します。尚これらの分類はr_penta独自のものであり、一般性を持つとは限りません。また例文は、各要素の基本法則に則った物です pic.twitter.com/zt5PzrrysG
— r_penta (@r_penta) 2015, 9月 2
まずは叙事文から。一枚目からくそほど字が多いですが、まあ興味があれば読んで下さい。とにかく物で押します。ひたすら。意外と、キャラの動作を極限まで淡白に書いても、雰囲気が成立することが判ると思います。(上の文を書き換えると下になる) pic.twitter.com/h8WLK6yMrE
— r_penta (@r_penta) 2015, 9月 2
次は、叙覚文です。r_pentaが独自に作った概念です。洗練されると非常にさっぱりした、小洒落た文章になります。一方で、描写が淡白になりやすく、これをうまく書くのは結構なセンスが要りそうです。キャラの方に、近づくようで近づかない。 pic.twitter.com/RyfRAGLGUd
— r_penta (@r_penta) 2015, 9月 2
続いて、叙情文ですが、これを二つに分けました。こちらは直接叙情文。文章に慣れない人が、キャラを書く上で最も書きやすい文章かと思います。抽象的な単語を扱うことになるので、上手く演出しないと、内容が空回った残念な文章になりやすいですね。 pic.twitter.com/AiwgFtFikk
— r_penta (@r_penta) 2015, 9月 2
続いて間接叙情文ですが、文章で感情の単語は出さないぶん、高等なテクニックです。水彩画のような淡い印象を文章に与えます。キャラクタの感情を文章に滲ませるよりも、キャラに同情する作者の心情が滲み出ていると捉えた方がよさそうな気がします。 pic.twitter.com/fifL1FneTL
— r_penta (@r_penta) 2015, 9月 2
そして主観文です。一人称+叙情文で、喋る主体も感じる主体も、見る主体もキャラ=作者です。イタイ文章になりやすいですが、説得力があり、また芝居的に読者を感情移入へ引っ張っていく無類の力があります。説明不足には注意しましょう。こっちは女 pic.twitter.com/65qnx3cIse
— r_penta (@r_penta) 2015, 9月 2
主観文の男視点です。なお本当は各々の文章で、シチュエーションや感情や動作を一致させられれば良かったのですが、結構ぶれてしまいました。これらの差が、文章の描写の得意不得意であり、文体自体がキャラの動作等を誘導しさえすると判りました pic.twitter.com/W7ASWBbkR4
— r_penta (@r_penta) 2015, 9月 2
あとおまけですが、文章における肉体性について言及しておきたいと思います。あなたのキャラクタに存在感がない場合の解決法になるかも。原則は、肉体や肉体運動の描写を入れること。そして肉体の反応を追う事です。自分も得意な方ではありませんが… pic.twitter.com/AFQsiHxcYZ
— r_penta (@r_penta) 2015, 9月 2
以上長々と(画像中の文章も入れれば本当に長い)喋りましたが、これが僕の今考える文章の傾向であり、これらの傾向を図に示して配置したのが、最初のツイートの画像です。なお自己回帰型文章と他者影響型文章の違いは、本質的な作者の欲求の違いなので、文章だけでは判別がつかないこともままあります
— r_penta (@r_penta) 2015, 9月 2
これらは、文章を「味わう」人達向けの文章、つまり、味が濃いのですが、そうでなく、情報伝達を主とした、ストーリー主軸の文章も、当然あります。
— r_penta (@r_penta) 2015, 9月 2
小汚い部屋に少女を招き、椅子に座らせると、男はキッチンに向かって調理を始めた。昼下がりの穏やかな時間に、おいしそうなシチューの匂いが漂い始めると、少女の警戒もやがて解けた。
— r_penta (@r_penta) 2015, 9月 2
男が出来上がった料理をよそって、卓上に出すと、少女の目は大きく見開かれた。少女はおそるそるスプーンを手にしたが、空腹に耐えかねてすぐに夢中になってシチューを食べはじめた。
— r_penta (@r_penta) 2015, 9月 2
基本的に、これくらいで一通りの説明ができます。説明文との違いは、主観的・抽象的な語が入っていること、動作がやや細かく描写されていること、感情を見せる動作が記述されている、などです。これらの要素を短い文章の中で上手く際立たせるのが、テンポ的文章派の腕の見せ所と言えるかもしれません
— r_penta (@r_penta) 2015, 9月 2
分類方法は、当然のことながら無限にあり得ますし、これこそが唯一の正解、といったものもないと思います。
それでも、アルペンさんの分類は参考になる部分が、たくさんあると思いました。